ライター斎藤博之の仕事

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斎藤博之は、祭りや民俗芸能・食文化・温泉文化・地域の社会史・地域づくりについて執筆しています。
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ごど〜二度醗酵させる大豆

 見たところ味噌のようでもあり、それにしては納豆のような臭いもするこの不思議な食べ物を、「ごど」という。青森県の南部地方の中でも十和田辺りにだけ伝えられてきた保存食だ。

 煮た豆を藁に包み、さめぬよう布団でくるんで醗酵させる。ここまでなら普通の納豆だが、ここで豆を煮たときの汁に麹と塩を加える。納豆菌と麹菌と、「ごど」は二度醗酵する。嘗め味噌のような、塩納豆のような、それをご飯にかけて食べる。おひたしや大根おろしに添えても美味い。

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| 斎藤 博之 | [食の文化]郷土料理(醗酵食品) | 21:10 | trackbacks(0) | comments(0) |
すまし〜醤油以前の醤油

 醤油という調味料が出来たのは随分と新しく、たとえば江戸でさえ、庶民の口に入るようになったのは十八世紀になってからのことであった。秋田の「しょっつる」や能登の「いしる(いしり)」のような魚醤は別にして、豆の醤(ひしお)が現れる以前、われわれが長く用いてきたのは味噌樽の「溜まり」である。

 南部ではごく最近まで味噌の溜まりに類するものが一般的に使われていた。そのなかに味噌汁を漉したような調味料があった。「すまし」あるいは少し訛って「しまし」と言う。「澄まし汁」という意味であろう。

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| 斎藤 博之 | [食の文化]郷土料理(醗酵食品) | 21:38 | trackbacks(0) | comments(0) |
すしこ〜ご飯の漬物

 米を炊いて漬物にする。ご飯の漬物でご飯を食べるのだから、漬物としても相当な変り種だが、米の食べ方としてもなかなか面白い。津軽では西郡や北郡に特有の食べ物で、場所によって「すしこ」とも言い、「赤めし」とも呼んでいる。

 もち米を蒸して、これに野菜の漬物などを混ぜて醗酵させる。赤紫蘇などで赤い色を出すので、赤飯のようでもある。赤飯の赤よりは紫に近いが、小豆を入れる以前の遠い昔の赤飯は赤米を炊いたものであったから、むしろ「すしこ」のほうが色具合は赤飯の原型に近いとも言える。米を赤くするということに、食欲を誘うこと以上の意味があったかもしれない。

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| 斎藤 博之 | [食の文化]郷土料理(醗酵食品) | 23:00 | trackbacks(1) | comments(0) |
玉味噌〜麹を使わない味噌

 一般的に、味噌は大豆と塩に麹を加えて仕込む。麦の麹を加えれば「麦味噌」、米の糀を加えれば「米味噌」だ。九州などを除けば、この列島の味噌には米糀の味噌が多い。

 ところが、こういった糀を造る技術の知られていなかった時代、味噌は空中に漂う麹菌を付け、その力だけで醗酵させて造った。蒸して潰した大豆を玉状にして、春先、軒先などに吊るす。萱についた麹カビが味噌玉の表面を覆う。それを甕に入れて醗酵させるのだ。大豆だけで造るので「豆味噌」と呼び、玉にして吊るすところから「玉味噌」とも言う。

 麹や糀を一切使わないこの味噌造りを、いまでも続けている地域がある。信州伊那地方や四国の農家では、いまでも自家製の豆味噌を造る。韓国のコチジャンもこの仲間だ。蔵元で醸造する豆味噌としては三河の「八丁味噌」が有名だが、なにも豆味噌は三河だけの専売特許ではない。味噌造りの旧い製法は南部地方でも行なわれてきた。青森県三戸郡や下北半島、岩手県など南部地方に広く残っている。

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| 斎藤 博之 | [食の文化]郷土料理(醗酵食品) | 23:30 | trackbacks(0) | comments(0) |
烏賊の漬けたもの

 下北半島の佐井村に福浦という集落がある。仏ヶ浦の北に位置するわずか50軒ばかりの小さな漁村だが、百年以上伝わってきた農村歌舞伎で有名だ。田畑となるような土地には恵まれていないけれど、平舘海峡に面した入り江は天然の良港で、背後にはマタギの村に続く山々が控えている。海の幸と山の幸が、人々の食卓に並んでいる。

 この福浦には、よそではなかなかお目にかかれない、珍しい郷土料理がたくさんある。「あざみ」のおひたしに岩海苔をかけて食べるとか、槍烏賊の刺身の薬味が山ワサビだとか、特別なグルメというわけではないが、目の前に海があり、すぐ後ろに山が控えるこのとちならではの、新鮮な食材が活かされている。素朴だが贅沢、そんな食べ物だ。不思議なことに、どの料理にも名前と言うべき名前がない。そのひとつに、「烏賊の漬けたもの」もあった。

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| 斎藤 博之 | [食の文化]郷土料理(醗酵食品) | 23:59 | trackbacks(0) | comments(0) |
飯鮨の文化

 冬が近づくと、津軽ではさまざまな飯鮨が作られる。この鮨に用いられるのはハタハタやホッケ、ニシンなどの青魚、烏賊、岩魚のような川魚もある。

 まずは新鮮な魚を塩漬けしておく。樽の中にこの魚を並べ、生姜や人参・根曲り竹のタケノコなどを散らし、炊いたもち米を被せていく。これを次々に重ね、最後に笹の葉で表面を覆って腐るのを防ぐ。漬物石を置いて蓋をし、このまま醗酵が進むまで置く。醗酵が進んだものが好みであれば、さらに寝かせてから食べる。

 醗酵が進めば乳酸菌などの働きで、酸味が出てくる。魚を腐らせない保存食でもあるが、わざわざ新鮮な魚を用いるのは、醗酵のおかげで旨味が増すからでもある。

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| 斎藤 博之 | [食の文化]郷土料理(醗酵食品) | 00:34 | trackbacks(0) | comments(0) |
すかかす〜粥で作る飯鮨

 「すかかす」、あるいはかなり訛って「しかかし」と発音する。蟹田など、上磯(津軽半島の陸奥湾に面した地域)で食べられる、一風変わった飯鮨だ。

 一風変わったというのは、どろどろに溶けて粥状になっているからだ。醗酵が進むと酸味が増し、酸っぱい匂いも相当に強くなる。だんだん現代風に変わってきた若い人の食卓には上がることが少なく、漬物などを置く場所のない今様の建築が増えた住宅事情もあって、なかなか作る人がいなくなった。

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| 斎藤 博之 | [食の文化]郷土料理(醗酵食品) | 00:50 | trackbacks(0) | comments(0) |


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