ライター斎藤博之の仕事

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サメ食の文化(1)正月に欠かせない魚

 この列島の各地に、サメを食べる文化が伝わっている。津軽海峡や日本海で捕れる「アブラツノザメ」も、青森や秋田などの沿岸で食べられているだけではなく、およそ海からは遠い内陸で、正月を迎える食事に用いられていた。北国に伝わるサメ食の文化を考えてみる。


「サメ食の文化」は、『毎日新聞』青森県版に連載したものを加筆訂正したものです。

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| 斎藤 博之 | [食の文化]食材(サメ) | 22:13 | trackbacks(0) | comments(0) |
サメ食の文化(2)市場とサメと蒲鉾と

 静岡のおでんを挙げるまでもなく、おでんに味噌を付けて食べるところは、各地に見られる。青森もそのひとつで、生姜味噌を付けて食べる。

 青森のおでんには、欠かせないものが4つある。

 まずは、津軽海峡の真昆布。これが出汁の基本だ。昆布のなかでも、いちばん出汁が濃いのは真昆布だが、地元だからふんだんに使えるわけだ。次に、つぶ貝。青森をはじめ、北東北では酒の席には先ず初めに出す肴だ。当然おでんにもこれが入る。これも出汁になる。

 ここまでは、いまも青森のおでんには必ず入っている。ところが、かつては、このほかになくてはならないものが2つあった。それは、サメで作った練り製品と、鯨のベーコンであった。

 津軽海峡では、縄文の昔から鯨を捕っていた。北海道の渡島から、津軽・下北の両半島、南部八戸あたりにかけて、こんにちも正月や小正月に鯨汁を拵える習慣がある。鯨をおでんに入れて煮込むことは、こういう食文化が下敷きにあれば不思議ではない。

 ところが、おでんに鯨を入れるべき、もっと強い理由があったのだ。それは、青森の竹輪がサメを原料にしているということである。津軽海峡のアブラツノザメは、もっとも高級な蒲鉾の素材である。おでんの旨さは、じつは蒲鉾などの練り製品から出た出汁が支配している。青森の場合、その蒲鉾類の出汁とは、アブラツノザメの竹輪から生ずる出汁のことだ。

 このアブラツノザメの出汁は、肉の旨味を倍増させる。そこで、いちばん手軽に入る鯨を入れることになったのであろう。生姜味噌が、鯨の獣臭さを消してくれていたわけだ。

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| 斎藤 博之 | [食の文化]食材(サメ) | 23:37 | trackbacks(1) | comments(10) |


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