ライター斎藤博之の仕事

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義経伝説は、なぜ北を目指したか(付録)そして蝦夷ヶ島へ

北海道の義経伝説


 義経は死なず蝦夷ヶ島へ渡ったとするならば、当然のごとく北海道にも義経の歩いた伝説が残っていなければならないことになるわけだが、津軽海峡を渡った彼の地にも伝説はあった。全部を拾うことはできないが、地域ごとにその分布を見てみよう。


1.道南
函館市:船魂神社義経腰掛の松
松前町:光善寺境内義経山の碑
江差町:鴎島義経の馬岩
乙部町:六条の森・竹森・姫待ち峠・九郎岳・姫川

2.後志
寿都町:弁慶岬・糠森・弁慶の足跡・義経の物見台
岩内町:雷電岬・メヌカ岩・悲恋の穴・弁慶の刀掛岩・薪積岩
泊村:カブト岩
積丹町:神威岩・女郎子岩(めのこいわ)

3.石狩
札幌市:義経石と埋蔵金
石狩市厚田:義経の涙岩
恵庭市:恵庭渓谷ラルマナイ滝

4.日高
壮瞥町:キムンドの滝
厚真町:義経逗留地
むかわ町:義経の魚釣り場
平取町:義経神社・義経公園・常磐御前碑・静御前碑・義経峠
新冠町:判官館森林公園
様似町:オソロコツ義経の尻もち

5.十勝
大樹町:義経の矢
豊頃町:義経上陸地
中札内村:弁慶の尻もち跡
本別町:義経山神社・義経山鎧岩・源氏山・弁慶洞

6.根釧オホーツク
白糠町:義経の尻もち跡
釧路市:義経と弁慶の弓勢競争・義経の窓岩
弟子屈町:屈斜路湖和琴半島義経岩と弁当石
羅臼町:義経しりもち岩
斜里町:義経の避難地

7.道北
旭川市:義経岩(神居岩)
東神楽町:義経台
稚内市:義経試し切りの岩


 北海道に伝わる義経の伝説は、いくつかのタイプに分類することが出来る。

a)義経上陸伝説
 まずは「義経が津軽海峡を渡って、この地に上陸した」という伝説である。
 この種の伝説は、箱館・松前・乙部・江差などに伝わっている。

b)義経の妻来訪伝説
 「義経の妻が、義経の一行の後を追ってやってきた」という伝説だ。
 乙部などに伝わっている。
 現実の義経には、幾人かの妻があったらしいが、伝説に登場するような妻が実際にいたのかどうかは、わからない。このような伝説は東北地方にもあり、八戸や野内(青森)の伝説は本稿でも紹介した。

c)義経と恋娘の伝説
 義経と恋仲になった娘が、義経の去ったあと海に身を投げて死んだ、という伝説。義経が現地の娘と恋に陥るという伝説は本州ではたとえば八戸にもあるが、北海道の特徴はその娘が義経が去ってしまったことに悲観して死んでしまうことである。
 岩内・積丹・平取などに伝わっている。

d)義経の財宝伝説
 義経の一行が財宝を埋めた、という伝説。
 恵庭・札幌などに伝わっている。
 義経は、言わば客人神(まろうどがみ)である。外から来訪する神が富をもたらすという観念は、義経の伝説に限ったことではない。

e)義経穀物神伝説
 義経が穀物の作り方を教えた、という伝説。
 平取などに伝わっている。
 これはdのタイプの伝説のバリエーションである。

f)アイヌの巻物伝説
 アイヌが義経に巻物を盗られた、という伝説。
 岩内などに伝わっている。
 『御曹司島渡り』の伝説と、物語の構造は同じだ。

g)義経の隠れ里伝説
 義経がここに隠れ住んでいた、という伝説。
 本別などに伝わっている。


 このように、北海道の義経伝説は、東北の義経北行伝説と類似した構造を持つものが多い。ただ、北海道に特異な変容を示しているものも多く、その物語構造の分析は今後の課題としたい。

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(参考)北海道の円空仏


蝦夷ヶ島の円空が訪れた場所と、義経伝説の残っている場所とのあいだに、なにか関連があるのかどうか調べるために、北海道の円空仏のありかを一覧にしてみた(すべてを網羅できていないかもしれない。わたしは北海道の円空仏については、いくつかを観たことがあるだけなので、『福島町史』などいくつかの文献を参考に一覧にしてみる。現地で確認したわけではないものが多いので、誤りもあると思う)。北海道の義経伝説については、わたしはなかなか調べ切れていないので、皆さんの教えを乞いたい。


観音菩薩坐像 寛文六年(1666) 佐女川神社蔵 北海道木古内町
観音菩薩坐像 寛文六年(1666) 西野神社蔵 北海道木古内町
観音菩薩坐像 寛文六年(1666) 古泉神社蔵 北海道木古内町
観音菩薩坐像 寛文六年(1666) 吉野教会蔵・福島町教育委員会保管 北海道福島町
観音菩薩坐像 寛文六年(1666) (石崎)八幡神社蔵 北海道上ノ国町
観音菩薩坐像 寛文六年(1666) 光明寺蔵 北海道上ノ国町
十一面観音菩薩立像 寛文六年(1666) 観音堂蔵 北海道上ノ国町
菩薩坐像 寛文六年(1666) 北村地蔵庵蔵 北海道上ノ国町
菩薩坐像 寛文六年(1666) 旧笹浪家住宅 北海道上ノ国町
阿弥陀如来像 寛文六年(1666) 泊観音寺蔵 北海道江差町
来迎観音像 寛文六年(1666) 柏森神社蔵 北海道江差町
来迎観音像 寛文六年(1666) 岩城神社蔵 北海道江差町
観音菩薩坐像 寛文六年(1666) 元和観音講蔵 北海道乙部町
観音菩薩坐像 寛文六年(1666) 三ツ谷観音講蔵 北海道乙部町
観音菩薩坐像 寛文六年(1666) 本誓寺蔵 北海道乙部町
菩薩坐像 寛文六年(1666) 根崎神社蔵 北海道八雲町
菩薩坐像 寛文六年(1666) 北山神社蔵 北海道八雲町
菩薩坐像 寛文期(1661〜73) 相沼八幡蔵 北海道八雲町
十一面観音菩薩立像 寛文六年(1666) 太田神社蔵(焼失) 北海道せたな町
阿弥陀如来坐像 寛文六年(1666) 太田神社蔵(焼失) 北海道せたな町
勢至菩薩坐像 寛文六年(1666) 太田神社蔵(焼失) 北海道せたな町
観音菩薩坐像 寛文六年(1666) 長万部町教育委員会蔵 北海道長万部町
観音菩薩坐像 寛文六年(1666) 有珠善光寺蔵 北海道伊達市
観音菩薩坐像 寛文六年(1666) 錦岡樽前山神社蔵 北海道苫小牧市
観音菩薩坐像 寛文六年(1666) 禅林寺蔵 北海道広尾町
観音菩薩坐像 寛文六年(1666) 厳島神社蔵 北海道釧路市


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