ライター斎藤博之の仕事

このウェブログは、フリーランス・ルポライター斎藤博之が地域限定の新聞・雑誌または非売品の媒体などに執筆した文章を、広くお読みいただくために、公開することを目的にしています。
斎藤博之は、祭りや民俗芸能・食文化・温泉文化・地域の社会史・地域づくりについて執筆しています。
<< 奥大道と平泉(3−4)櫛引八幡宮の舞楽面 | main | 美味しんぼ 108巻 被災地編 >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

sequel
| スポンサードリンク | - | | - | - |
奥大道と平泉(3−5)中尊寺大長寿院の古面

 奥大道を北へ巡る旅の終わりに、もういちど平泉中尊寺に立ち返ってみよう。中尊寺大長寿院には、公開されてはいない7つの古面がある。そのなかには、舞楽に使われたかもしれない面が含まれていた。

中尊寺大長寿院の古面1

 能面に較べれば平板ではなく、いくぶん奥行きがあり面に高さがあるので、舞楽の面かとも思うのだが、はたしてこのような面を用いる演目があったかなかったか。中尊寺としても、調査を依頼しているところだそうだ。櫛引八幡宮や岩木山神社の舞楽面と較べてほしいのだが、「採桑老」(さいそうろう)に似ていなくもない。

中尊寺大長寿院の古面2

 この面は、大星神社や天台寺に遺る「二の舞」の「咲面」(えみめん)、すなわち老爺の面に表情が似ている。ただし、櫛引八幡宮のものとは表情がかなり異なっている。こうしてみると、おなじ奥大道の中世の「咲面」でも、表情の似ているもの、異なるものがあって、どのように伝わっていったかを考えるヒントにもなりそうだ。

中尊寺大長寿院の古面3

 櫛引八幡宮や天台寺の「還城楽」(げんじょうらく)と較べてみよう。鼻が横に大きく、眼は見開き、眉毛が吊り上っている。口は大きく、横に広がっている。こういう点が、共通しているのではないか。そういう点を考えれば、「還城楽」に見えなくもない。

中尊寺大長寿院の古面4

 この面が何かということは、いまのところわたしには特定できないが、奥行きのある面の構造からして舞楽面であることだけは確かであろう。髪を植え込んでいたらしきあとがある。「胡飲酒」(こんじゅ)だとも思える。


 これで、平泉から北へ、奥大道の周辺に伝わる中世の舞楽面を、ほとんど観て来たことになる。どんな面が残っているかということに共通点があるばかりではなく、その面の姿にも東北らしい特徴があった。平泉という都市と奥大道が、奥州藤原氏の時代が終わったのちも、こういった芸能が伝わる交差点になっていたということが言えるのではないか。


sequel

 面に奥行きがなく、舞楽とは別の、たとえば延年や能などに使われたのではないかと思われる面もあった。

中尊寺大長寿院の古面5

 この面は、舞楽面ではないと思うが、なんに用いられたのかは判然としない。調べてみないとわからないが、相当旧い面だと思われる。大長寿院でも、「江戸時代よりは前の」ものだと伝えられているそうだ。

中尊寺大長寿院の古面6

 この面は、能面ではないかと思うのだが、あいにくと筆者に能の知識はないので、教えていただければありがたい。

中尊寺大長寿院の古面7

 この面は、いわゆる「おかめ」であるが、いかなる芸能の、いかなる演目であったものか、これも今後の調査を待たねばならない。


| 斎藤 博之 | [地域の社会史]奥大道と平泉 | 21:02 | trackbacks(0) | comments(0) |
スポンサーサイト
sequel
| スポンサードリンク | - | 21:02 | - | - |
trackback
http://hsaitoh.jugem.jp/trackback/171
comments










+ CONTENTS of THIS WEBLOG
+ PROFILE of SAITOH
+ OTHER WEBSITE written by SAITOH
+ SAITOH'S DIARY

(1)
斎藤博之のTwitter
斎藤博之のTwitter

    follow me on Twitter

    (2)
    ライター斎藤博之の取材日記
    ライター斎藤博之の取材日記
    (ライター斎藤博之が日々取材で出会った食べ物や祭り・風景を紹介する日記。
     Twitter開設以前に作っていたもので、現在は更新していません)

    + FORUM
    ライター斎藤博之のフォーラム (記事内容に関連した討論や、質問を受け付ける掲示板)
    + MESSAGE FORM
    + COPYRIGHTS
    著作権は、斎藤博之にあります。文章の引用は自由ですが、著作権法の定めるところに従ってください。ウェブ上で引用する際も、出典を明示したうえで、トラックバックするか、著者に連絡してください。当然のことながら、著作権を侵害していると認められるものについては、法的な対抗手段をとることがあります。
    + selected entries
    + recent trackback
    + recent comments
    • 恐山信仰とイタコについてのQ&A
      斎藤 博之 (03/27)
    • 恐山信仰とイタコについてのQ&A
      田中 修 (03/17)
    • 原発の事故による健康被害について〜美味しんぼ 福島の真実
      Botox (12/26)
    • 原発の事故による健康被害について〜美味しんぼ 福島の真実
      高橋靖司 (07/17)
    • 原発の事故による健康被害について〜美味しんぼ 福島の真実
      タコ (06/12)
    • 原発の事故による健康被害について〜美味しんぼ 福島の真実
      KAZU (06/01)
    • 原発の事故による健康被害について〜美味しんぼ 福島の真実
      斎藤 博之 (05/22)
    • 原発の事故による健康被害について〜美味しんぼ 福島の真実
      ana (05/22)
    • 原発の事故による健康被害について〜美味しんぼ 福島の真実
      斎藤 博之 (05/21)
    • 原発の事故による健康被害について〜美味しんぼ 福島の真実
      斎藤 博之 (05/21)
    + archives
    + LINKS

    雁屋哲の美味しんぼ日記
    (雁屋哲さんの公式ホームページです)

    美味しんぼ塾ストーリーブログ
    (『美味しんぼ』全巻のあらすじを検索)

    企画集団ぷりずむ
    (雑誌にラーメン特集などを執筆しました)

    グラフ青森
    (雑誌に民俗芸能・地酒などの連載をしました)

    まるごと青森
    (青森県の観光担当職員たちで作るブログです)

    恐山あれこれ日記
    (恐山菩提寺の院代・南さんの日記です)

    山の楽校「焼き畑日記」
    (八戸市南郷区で焼畑を復活しました)

    トキワ養鶏
    (耕畜連携の循環型農業に取り組んでいます)

    レストラン山崎
    (弘前のスローフードの仲間です)

    洋望荘
    (八戸の自然食・スローライフの宿です)

    仙台ラーメン金太郎
    (コンセプトと食材を担当しました)

    仙台屋
    (食材と地酒を集めました)

    深浦の食べ物屋セーリング
    (深浦の正直な食べ物屋さんです)

    青森県のラーメン・旅の宿と温泉
    (T.KENさんのホームページ)

    あおもりラーメン協会
    (あおもりラーメン協会の公式サイト)

    新井由己の仕事帖
    (地域のおでんやハンバーガーなどについて
     食文化として研究しておられます)

    わ的には 「北の国」のチョット南から
    (青森などを歴史も交えて探訪する
     ぴかりんさんのカナリ楽しいページです)

    大川平の荒馬
    (「大川平の荒馬」のホームページです)

    べんべのけやぐ
    (「大川平の荒馬」のメンバーです)

    じっくり・ゆっくり・2
    (「大川平の荒馬」のひろさんです)

    我、旅の求道者也
    (「大川平の荒馬」で知り合いました)

    下田ゆうじの津軽お祭道中
    (懇意にしている鳥井野獅子踊りの若手後継者、
     下田ゆうじさんが津軽の民俗文化を語る)

    小竹勇生山の瞽女宿
    (津軽三味線と越後瞽女を取材しました)

    津軽の侫武多
    (斎藤の作ったネブタ分布データを共有)

    阿部かなえの二胡のページ
    (北東北初の二胡の教室を開いた方です)

    憩いの森メーリングリスト
    (東北の魅力に触れるメーリングリスト)

    くぼた屋ウェブログ
    (岩手県滝沢村とゲームについての話題)

    土徳の世界
    (映像作家・青原さとしさんの公式サイト)

    藝州かやぶき紀行
    (広島の萱葺き職人を追うドキュメント)

    よたよたあひる's HOMEPAGE
    (ちょっとオタクな友人です)


    にほんブログ村
    このウェブログは、「にほんブログ村」に参加しています。

    + RSS
    + RECOMMEND
    美味しんぼ 108 (ビッグ コミックス)
    美味しんぼ 108 (ビッグ コミックス) (JUGEMレビュー »)
    雁屋 哲,花咲 アキラ
    「美味しんぼ」が、東日本大震災の被災地のうち、八戸(青森県)から石巻(宮城県)までの三陸地方を訪ねた。津波は、あらゆるものを流し去ってしまったけれど、清らかな海を護ろうとしていた重茂(岩手県宮古市)や唐桑(宮城県気仙沼市)には、生き物も還ってきた。陸前高田(岩手県)の醤油屋さんは、市民ファンドの援けも得て、新たな一歩を踏み出そうとしている。まっとうな食べ物を作っていた生産者たちは、どのように復興に取り組もうとしているのか。豊かな自然と、温かな絆をもったこの東北に、ほんとうの幸せがあったのではないか。わたくし斎藤博之が案内します。
    + RECOMMEND
    美味しんぼ 100 (100) (ビッグコミックス)
    美味しんぼ 100 (100) (ビッグコミックス) (JUGEMレビュー »)
    雁屋 哲
    わたくし斎藤博之が案内人として登場する『美味しんぼ』の「日本全県味巡り 青森県編」。三方を海に囲まれ、ブナやヒバの森に抱かれた青森県は、海と山の豊かな恵みを受けているばかりではなく、醗酵・粉食・天日干し・寒干しなど、食べ物を保存し・しかも美味しくいただく知恵を、幾百年の年月をかけて蓄積してきた。また、北前船で伝わった文化と北方の民俗が交叉し、旧い日本の食文化の基層を留めてもいる。
    + RECOMMEND
    日常生活のなかの禅―修行のすすめ
    日常生活のなかの禅―修行のすすめ (JUGEMレビュー »)
    南 直哉
    恐山菩提寺の院代・南直哉師は、曹洞宗大本山永平寺で長く修行され、曹洞宗を代表する論僧である。
    この著作は、「私」という存在の根拠への問いから始まり、他者との関係のなかに「生」を見出し、もう一度自己を再構築するための「禅」を説く。
    大乗仏教の根本思想を、恐山の禅僧が語る。
    + RECOMMEND
    「問い」から始まる仏教―「私」を探る自己との対話
    「問い」から始まる仏教―「私」を探る自己との対話 (JUGEMレビュー »)
    南 直哉
    恐山菩提寺の院代・南直哉師は、曹洞宗大本山永平寺で長く修行され、曹洞宗を代表する論僧である。
    この著作は、「私」という存在の根拠への問いから始まり、他者との関係のなかに「生」を見出し、もう一度自己を再構築するための「禅」を説く。
    大乗仏教の根本思想を、恐山の禅僧が語る。


    + sponsored links