ライター斎藤博之の仕事

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鯨餅〜北前船が運んだ食の文化(2)山形の鯨餅

前回は、くじら餅が京菓子に起源することを紹介した。北前船が京の文化をもたらした。くじら餅も、北前船が伝えた食文化のひとつであろう。

くじら餅は、こんにちでは、郷土の菓子のなかに残っている。それぞれの地域で、その地域らしい味わいを生んだ。まず初めに、山形県に伝わる「久持良餅」を紹介しよう。

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山形ではくじら餅は「くぢらもち」「久持良餅」のように書き、新庄・尾花沢・肘折など、最上・村山地域の最上川流域にある。

この地域の紅花が、最上川の船運で酒田湊から北前船に積まれ、京に運ばれていた。湊町に商人が根づき、上方の文化が広まった。「くぢらもち」も、そのひとつだと考えられる。

山形の「くぢらもち」は、たとえば新庄に5軒の店があるほか、月遅れの雛祭りに家庭でこしらえる。米の粉に小豆餡を入れるもののほか、黒砂糖と醤油、赤粗目と味噌、たんに白砂糖だけのものなどがあり、それぞれ小豆・黒・赤茶・白の色になり、見た目の種類も多い。ここに胡桃などの木の実や、胡麻を混ぜたりもする。

家庭でつくる場合の作り方を取材したので、紹介しておこう。

まずは予め、粳(うるち)米と糯(もち)米を数日のあいだ水に浸しておく。米が充分に水を含んだら、水を切って乾燥させ、臼と杵で「はたく」(砕く)。「ころし」と呼ばれるふるいで粉にする。

この粉に餡になるものを入れる。黒砂糖と醤油、赤粗目と味噌、砂糖と小豆の餡、白砂糖。砂糖は煮溶かして、醤油・味噌・小豆餡に混ぜる。その餡を粉に混ぜ、流れるほどの柔らかさに練る。ここで、胡桃や胡麻を混ぜることもある。

これを一晩寝かせ、あくる日に型に流し、蒸篭(せいろ)で2時間ばかり強火で蒸す。

書いてしまえば単純な作業にも見えるが、「はたく」「練る」「蒸す」のそれぞれにこつがあり、各家庭のお婆さんが長年の経験で培った技を持っている。

雛祭りのときは、じつに大量の「くぢらもち」をつくり、遠くの親戚にも配るらしい。「くぢらもち」は、日数がたって固くなっても、焼いて食べると香ばしいと言う。

京菓子の「鯨餅」は、北前船で運ばれて、山形の「くぢらもち」になった。醤油や味噌・木の実や胡麻を入れるところが、山形風である。

| 斎藤 博之 | [食の文化]郷土料理(鯨餅) | 13:13 | trackbacks(0) | comments(0) |
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