ライター斎藤博之の仕事

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美味しんぼ 日本全県味巡り 青森編(20)大鰐温泉もやし

 大鰐の温泉もやしは、弘前や黒石の人ならば時々口に出来るであろうが、せいぜいがこの程度の範囲まで流通するのが精一杯で、ほとんど地元で消費されてきた。鮮度を考えれば、これが限界だと思われてきた。

 この温泉もやしは、温泉の権利をもつ大鰐の農家が、冬のあいだ、温泉の熱で土を温め、室のなかでもやしを育てているもので、江戸時代から伝えられてきた伝統の野菜である。幾世代にも亘って、もやしに適した大豆の種を撰んできた。

 このもやしがあるので農家は出稼ぎに行かずに済んできたのだが、高齢化の波はここにも押し寄せ、最盛期には三十を数えた栽培農家も、いまは六戸に減っている。この特産品を絶やさず後世に伝え広く流通させる目的で大鰐町が整備した栽培施設で、公募に応えた若い夫婦が他の農家の指導を受けながら生産に励んでいる。


*「大鰐温泉もやし」は『美味しんぼ』第586話「日本全県味巡り・青森編7」に登場する食べ物です。


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 近年スーパーなどに流通しているもやしは「録豆もやし」で、そのほとんどは水耕栽培である。これに対し大鰐の温泉もやしは「大豆もやし」で、土の上で育てている。温泉の配管は土の下にあり、土を掘ってもやしを育て、この穴に筵を被せて覆いをする。

 もやしの収穫は腰をかがめねばならず、その作業が高齢者には負担になって、栽培農家は減ってきた。大鰐の温泉もやしは、良くも悪くも、土に根を生やしているということに最大の特徴がある。

 大鰐温泉もやしは、土の匂いと味がする。水耕のもやしにはない魅力だ。しかし、土が濡れれば傷みは早く、これが流通を阻んできた。朝採ったもやしは、その日のうちに地元で消費する。美味しさの消えないうちに食べる、この土地ならではの伝統野菜だ。

 もやしの生産農家を絶やさないために、もやしの流通を広げなければならないと、大鰐の商工会は考えているらしい。そのためには、鮮度を保持する必要があった。もやしの洗い方を変えるにあたっては、わたしもアドバイスさせていただいた。いままでは溜まり水で洗っていたものを、流水で洗うようにしたのである。

 温泉もやしは、辛子酢醤油で和えたり、油揚げといっしょに炒めたりもするが、津軽の人に最も好まれているのは味噌汁であろう。大鰐温泉もやしの土臭さが、熟成し独特の酸味を持った津軽の赤味噌に、まことによく合う。とりわけ、大鰐の地元のマルシチの味噌は、温泉の熱を利用して醗酵を深めている。

 大鰐の街でこのもやしを食べようと思えば、大鰐駅前の山崎食堂には温泉もやしの炒め物のほか、「大鰐温泉もやしラーメン」もある。

 なお、大鰐温泉もやしには「蕎麦もやし」もあって、こちらは軽く湯を通す程度で「しゃきしゃき」した食感を楽しむのがよい。サラダにも向き、都会の人にも好まれるだろう。


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| 斎藤 博之 | [食の文化]美味しんぼ 青森県編 | 19:05 | trackbacks(1) | comments(0) |
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大鰐温泉
大鰐温泉(おおわにおんせん)は、青森県南津軽郡大鰐町に湧く。平川沿いに9つの共同浴場がある温泉街が広がっている。大鰐温泉スキー場も近く、スキー場近辺にはホテルが立ち並ぶ。 浴衣各サイズございます ここ数日、少し肌寒い日が続いています。 それぞれのご家庭の
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